――
翌日の朝、アラームが鳴り、成海はカーテンを引いた薄暗い部屋の中で目を覚ました。青いタオルケットを体から剥がし、瞼を閉じようとする眠気と奮闘しながら頭を働かせる。
……今日は、葉月に呼ばれた日か。
ベッドから起き、未だ鳴り続ける卓上のスマートフォンに手を伸ばした。時刻は午前6時20分だ。20分もあれば余裕を持って学校の用意をすることができる。
あくびをしながらスマートフォンを置き、成海は部屋の角に視線を投げ、階段を降りた。
やがて準備を終え、教科書とノートが数冊ずつ詰まったリュックを背負い靴を履く。
靴紐を結びながら二階の様子を伺うが、いつも7時頃に起床する両親が起きてくる気配はなかった。7つも離れた成海の弟をはさみ、彼らは夢を見ているのだろう。
家を出る。空は白がかって明るく、近所の公園の木の幹で蝉がかまびすしく泣き喚いている。
夏の朝は涼しく、心地の良い気温だった。
成海は軽く周りを見回しながら、コンクリートの道を行く。学校まではおよそ20分あればたどり着くことができるが、同級生たちと比べると成海の家はやや遠い場所にあった。
「……殺したのは、誰だ」
リュックの重みを肩に感じながら、成海は自分だけに聞こえる声でひとりごちた。



