夏を殺したクラムボン




古いウォータークーラーの前に着いた。足元のペダルを踏めば、夏風のように弱々しく、透明な水が低い楕円形となって放たれる。



成海はそれを少量口に含み、額の汗をぬぐって水を水筒に入れ始めた。水筒は少しずつ重くなっていくが、なかなか満杯にはならない。



ぼんやりと澄んだ水を眺めていると、不意に甲高い怒鳴り声が耳に触れた。



顔を上げ、視線を配る。すると、体育館の裏に幾つかの人影を見つけた。クラスメイトの男女の6人程度の塊と、壁際に追いやられた1人の女子が目に入る。



沢野と橋村、貫井と増田と……あれは、葉月?



1人ぼっちの人影――周は、体育館の壁にもたれてまっすぐに顔を上げていた。



4人の女子が口々に何かを言い、1人が周に歩み寄り胸ぐらを掴む。後ろの男子は意地の悪い顔で笑っている。



彼らの正確な会話は聞き取れないが、あざ笑うような声だった。



周は首元を掴む手を払いのけ、端然な微笑みを浮かべて口を開く。



一斉に女子たちの罵声が大きくなった。



やがて水筒から溢れた水が成海の手を濡らす。冷たい感触が右手を覆う。





しかし彼は気にもかけず、
感情のない目で彼らのことを見ていた。