夏を殺したクラムボン




「休憩ー!」



部活開始から30分ほどが経ち、バスケットボールを脇に抱えた部長が声を張り上げて言った。



「はい!」




部員たちは声を揃えて返事をし、舞台の上に並べられた色とりどりの水筒めがけて走る。



成海も同級生たちに習って黒い水筒に駆け寄ったが、持ち上げた瞬間、中身が空っぽであることに気づいた。



……そういえば、体育館に来る前に一気飲みしたんだった。



ウォータークーラーは体育館の裏手に近い場所に設置されているが、ぬるい水が細々としか出ないために生徒たちから嫌われていた。



「水、入れてくるから遅くなる」

「わかった」



同級生の部員に伝え、成海は体育館の外に出た。



ウォータークーラーまでの道はコンクリートで舗装されており、バッシュのまま歩いていくことができる。黒い水筒の蓋を緩めつつ舗装路を歩いていく。



校庭にはユニフォームを着たサッカー部の部員たちが乱れ、たった1つのボールを追って汗を流していた。



その隣でテニス部の女子たちが掛け声を発し、小さなボールを打っている。



体育館に近い場所では、陸上部の生徒たちが勢いに乗ってハードル走を行っている。



成海にはあまり関わりのない放課後の校庭は、様々な空気が入り混じっていた。