夏を殺したクラムボン




もともと成海と窪田と浜田は同じバスケ部の部員で仲が良く、共に行動することが多かった。窪田は不安そうに眉を寄せ、言う。



「葉月と真木が何の話してたか知ってるか?何人かに訊いたんだけど、誰も詳しくは知らないって言って……」

「朝の?」

「あぁ」



成海は靴紐を結び、窪田の顔を見た。リズミカルなボールの音に紛れ、バッシュが床に擦れてキュッと軽やかな音を鳴らす。



「そんなに気にするものじゃない。昨日、公園でマルチーズが殺されたらしくて、それで真木が葉月に『浜田を殺したのはお前だろ』って言って、取っ組み合いになったってだけだ」

「……そうか」



集合、と3年生の部長が言い、散らばっていた部員たちは円形になって集まった。成海と窪田も急いで輪に並び、部長に名前を呼ばれるのを待つ。



点呼のあと、部長は練習メニューを告げ



「体操したやつからアップ!」



と指示を出した。



部員たちは分かれて体操とウォーミングアップを行い始める。二人は邪魔にならないよう体育館の端に行き、各所の筋肉をほぐした。



部員たちが駆ける足音。バスケットリングにボールが飛び込むたび、ネットが揺れる。開け放たれた扉から夏風が入り込み、褐色の肌に触れた。



「……昨日の犬、本当に葉月が殺したのかな」



成海が独り言を呟くように言った。



そばでそれを聞いていた窪田は一言声をこぼし、バスケットボールを取りに行った。






「……知らねえ、そんなこと」