成海は周に目をやり、次に莉央を見た。
周は少し離れた場所で左ほおを押さえ、うつむいている。莉央は衝撃が走っただろう右手を下ろして唇を噛み締めていた。
恐ろしいほどの静寂が流れ、クラスメイトたちはことの成り行きを見守っているしかなかった。
場違いなチャイムが鳴る。
周は髪で顔を隠して席に座り、何事もなかったように机の中からブックカバーがかかった本を取り出して読み始めた。
莉央は荒い息をしずめつつ、椅子に着いて顔を伏せる。莉央の取り巻きの女子たちが心配そうに彼女を眺め、周を凝視する。
チャイムが鳴り終わり、沢田が入ってきた。
「……おはよう。葉月と成海しか本を開いてないじゃないか。早く読めよ」
クラスメイトたちは躊躇いながら各々の小説に手を伸ばす。
成海が隣を盗み見ると、周は頬杖をつくふりをしながらほおを押さえていた。
窓外の空は真っ青だ。照りつける陽射しがうっとうしく、成海はカーテンを引いた。
二限目の途中、真木 莉央は早退した。



