数分後、周が姿を現した。
前方の扉を開け、周は迷いない足取りで自らの席に向かおうとする。成海は周に声をかけようと足を運びかけた。
刹那、1つの冷たい声が響いた。
「人殺し」
周は足を止める。
全員が声の主に目を向けた。
莉央が眉間にしわを寄せた険しい顔で、周を糾弾するように指差していた。
「なんのこと?」
「浜田を殺したくせに、平気な顔でよく学校に来られるよね」
周が無表情なのに対し、莉央は顔をしかめて腕を下ろす。
誰かが息を呑む。指1つでも動かせば全てが壊れてしまうような、殺伐とした情調を誰もが感じていた。
「私、殺してないけど」
「うそ。前からこの街でずっと……を殺してるのもあんたでしょ?」
「なにそれ。根拠のない推測でそんなこと言うの止めてくれない?」
「わたしの友達が、猫を殺してるところを見たって言ってた。浜田も殺したでしょ。絶対に許さないから」
莉央が上靴の軽い音を鳴らしながら、机の合間を縫って周の目前に立ちはだかった。
沈黙の睨み合いが続く。
途中から登校してきたクラスメイト数人も教室の異常を察し、そそくさと席に着く。
最後に教室にやってきたのは目を充血させた窪田だった。彼もまた尋常でない状況を感じ取り、見て見ぬ振りをして椅子に座る。



