夏を殺したクラムボン










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翌日の校舎、特に2年4組の教室は猛暑の陽射しも相まって、異様なまでの熱気に包まれていた。



あちらこちらで、声が交わされる。



「また昨日、……が殺されてたって。葬儀場の近くに公園があったでしょ。あそこで」

「うそ。昨日は浜田の葬式だったのに」



教室の中心に数人の女子が固まり、ひそひそと互いに耳打ちをしあっている。グループの真ん中にいるのは目の下を紫に染めた莉央で、彼女は小さな拳を握りしめていた。



毒の混じった空気が入道雲のように渦を巻く。



成海はいつも通りの時刻に教室に足を踏み入れ、異常な雰囲気に気づいた。ちらほらと空席が残ってはいるものの、すでに半数以上の生徒が登校しているらしく、憶測の声が耳を打つ。



窓際の二列目の席には透明な花瓶に挿された白銀の百合が咲いており、それは確かな存在感を放っている。



夏風に揺れる。水が机に青い影像を形作る。
献花。死者に手向けられた花。



「今度は何が殺されたんだ?」

「Sって人が飼ってたマルチーズらしいぜ」



……なんの話だ?



成海は最前列の机に乱暴にリュックをおろし、周が来るのを待った。