葬儀場から少しばかり離れた公園のベンチに並んで腰を下ろし、成海は空を、周は地面を向いた。二人の他に人影はない。
時たま、自動車が二人の背後の道を通り抜ける。
「どうして犯人を捜す必要がある?」
成海は周から目を外したまま言った。
「ずっと疑われるのは疲れるから」
周は髪を束ねていた黒いゴムを一気に外した。反動でふわりとストレートの髪が広がり、爽やかなシャンプーの香りが成海の鼻をくすぐる。
そうして周はのびやかな両手の指を絡ませ、長い睫毛を伏せた。
「成海は知らないだろうけど、私、今日の朝、河野さんに耳元で人殺しって言われたの。あと、真木さんに3回くらい背中を押された」
「どうして葉月はそんなに疑われるんだ?人殺しみたいに見えるからかな」
「やっぱり見える?」
周はつま先で地面を削り、小さな山を作る。
「なんでかな。確かに、私はみんなと馴染みがなかったけど……誰かが私に罪をなすりつけようとしてたりして」
「そんな馬鹿な」
砂の山を積みながら、周は成海に顔を向けた。
「なんでそう言い切れるの?」
「……いや」
「ただの勘。浜田の件はともかくとして、私はこのクラスに、……を殺し続けている犯人がいると思う。その犯人を見つけたら、浜田のことも何がわかるかもしれない」
周は立ち上がり、成海の前に立つ。彼の体に影を落とした彼女は強い口調で言った。
「協力してよ」
無言を承諾と受け取ったのか、周はまた明日と言葉を残して成海の元から去った。
成海はベンチから腰を上げ、わずかに顔を歪ませて砂の山を蹴り飛ばした。飛散する、砂粒。



