「成海は……なにを、考えているの。どうして……浜田を殺したの」
「……ただ、気づいてほしかっただけだ」
周は胸に手を当て、息を吐くとカッターの刃を赤い柄にしまった。硬質な音を立て、平行四辺形の光が消えていく。
周は下唇を噛み締め、成海の目を見つめた。
……葉月は、なにを、考えているのか。
床に散りばめられたガラスの破片が、成海の体のところどころにきらきらと煌めく反射光を当てている。目に入った反射光は、染み入るように眩しかった。
「誰に、なにを気づいてほしかったの」
「葉月には関係ない」
机から降り、成海はゆったりとした足取りで扉へと進む。周は怯んだ様子で後ずさりをしかけたが、動きを止め、扉を掴んだ。
教卓の前で成海は歩を終える。
「クラムボン……いや、犯人か。中学生殺人事件の犯人は僕だったって、警察に言えばいい」
「……自首したらいいじゃない」
「僕は情状酌量なんか要らない。悪いのは僕じゃないんだから」
「じゃあ、誰が悪いの」
「悪いのは……」
言いかけ、成海は周をねめつけた。
「教えて」
扉から手を離し、周は長い黒髪の先を触る。
「……私が好きだった猫は、死んだのよ」
「あぁ……6月に殺したよ」
「浜田も、死んでしまった……」
「僕が、殺したんだ」
「それなら、なぜ、殺したの」
「……誰も、僕のことを知らないから」
……誰かに好かれたい訳じゃない。
クラスメイトと仲良くしたい訳でもない。
僕は、ただ。



