夏を殺したクラムボン











一学期の最後の授業が終わり、清掃を終え、下校時刻になった。沢田は教卓の前に立ち、明後日より夏休みを迎える生徒たちを心配そうに見回している。



「課題は早めに終わらせるか、毎日進めること。部活が忙しくても勉強を大切にしろよ!今しかできないんだからな」



空返事が相次ぎ、沢田のため息に合わせてチャイムが鳴り響く。



「起立、礼」



莉央の号令で全員が立ち上がり、思い思いに頭を下げた。



「さようなら」



途端、クラスメイトたちは津波のように前方の扉へと押し寄せる。周が窓に近い最前列からうねる生徒たちの波を傍観していると、彼女の前を詩織が横切り、成海に近寄って行った。



さりげなく視線をそちらに向ければ、詩織が小さく笑い、成海に耳打ちしている。



……なんの話だろう。



多少気にはなったが、周はクラスメイトたちの波に乗り、廊下に出た。






机の中に入れっぱなしだった課題のことを思い出したのは、校門を通過した直後だった。



……明日でもいいけど、また忘れたら、面倒臭いことになる。



仕方なく引き返し、ちらほらと人影が残る玄関で靴を履き替え、悄然とした校舎内の中、東階段を上っていく。途中、下を向いて歩く真木 莉央とすれ違った。



普段なら聞こえるはずの吹奏楽部による演奏や文化部の話し声はなく、校舎は静まり返っている。



階段をのぼり続け、2年生の階につく。