「杏子が悪い。」
私なんかした!?心当たりがないから謝りようがない。
「いや、ごめん。俺が勝手に嫉妬してた。」
「嫉妬?!」
「杏平って言ったけ?」
「うん、杏平がどうしたの?」
「それだよ。お前はあいつのこと呼び捨てしてるし、あいつはお前のこと杏って呼んでるし。それにあいつ絶対お前のこと・・・」
「え?最後聞こえない!」
最後の方が聞き取れなかった。
「なんでもない!」
「何なの?!杏平は幼馴染だし!杏平って呼ぶのは昔からだし。杏平が私を杏って呼ぶのも昔からだから!」
「もういいよ。あいつの名前ばっかいうなよ。」
「私には先輩がわからないよ。」
好きでもないのに。なんでこんなことばっか私だけ言われなきゃいけないの?!やっぱ先輩なんて好きじゃないよ。迷うことなんてなかった。
「じゃ、私次で降りるから!さよなら!!!」
私は勢いよく飛び降りた。タイミングよく最寄り駅についてよかった。
大きな声を出してしまったこと申し訳なく思うけど。それよりも先輩にムカついていた。
「杏」
「杏平」
「ひとり?」
「うん。さっきは何かごめんね」
「別に俺は気にしてないよ。あの先輩、杏子の彼氏?」
杏平まで彼氏って思うなんて。
「絶対違う!あんな人!」
「そっか。よかった」
え?いま、よかったって言った?
「あ、いいやなんでも。気にしないで。杏はあの先輩が好きなの?」
「好きなわけないじゃん。あんな、自己中で女たらしで意味わかんなくて思わせぶりなことばっかいう人。」
「よくわかってんだね先輩のこと。」
「え?そんなことない」
「人はさ、いいところってすぐ見つけれるじゃん?」
「ダメなところも見つけられるよ」
「そうだね。でもそれを口にはなかなかできないでしょ?」
「確かに」
杏平が何が言いたいのか私にはわからない。



