あなただけを思い続けたかった。(仮タイトル)


『まもなく列車が参ります。黄色い線の内側にお下がりください。』

電車が来たので、乗り込む。
空いている席は無いようだ。

手すりにつかまって体を安定させる。

「あっ、杏平」

「お~、また会ったな。杏」

と言ってにっこりさわやかな笑顔を私に向けるのは、綾野杏平。
さっき言っていた私の好きな人。
名前に“杏”がついてて運命感じちゃうでしょ?

杏平は私の気持ちを知ってる。けど、今もまだ好きでいるとは思ってないはず。私の気持ち知ってたら、こうして話してくれないと思う。

杏平とは小学生から一緒で、
学校終わりに家に遊びに行ったり、
川に一緒に泳ぎに行ったり、
ゲームをしたりして一緒に遊んでた。
私が杏平への気持ちに気づいたのは中学1年の時。
そして、私の気持ちがバレてしまったのは中学3年の夏休み前。
誰にも言わなかった杏平への気持ちを1人の子に打ち明けたら、それを男子に聞かれちゃって、次の日には学年中に広まった。

それまでは掃除場所も一緒だったり、委員会も同じで、家に行ったりして遊んだり、バーカとかお互い言い合う仲だったのに。それ以来話せなくなってしまった。