あなただけを思い続けたかった。(仮タイトル)


「あ、ごごめんなさい。」

慌てて立ち上がろうとしたが、力がうまく入らずよろけてしまった。

「いいって。このままで。」

「あ、ありがとう。」

は、恥ずかしい。桃子もいるのに。

「杏子〜!無事でよかった。」

桃子は泣いていた。

「桃子、ごめん。心配かけちゃったね。」

「いいんだよ、そんなこと。」

桃子の優しい言葉にほっとする。

「木村、ほんと無事でよかったよ」

「成瀬先輩。ほんとにごめんなさい。」

「気にすんな。お前が試合に出てないから、気になってこの子に聞いたんだよ。桃子だっけ?」

「はい、桃子です。」

「そしたら、玲華と一緒にどっか行ってから戻ってきてない。って言うから、玲華に問い詰めたらこの辺にいるって言うから桃子と慌てて探しに来たんだよ。」

そうだったんだ。

「杏子が狭いとことか暗いとこに閉じ込められてたらどうしようって思って。杏子、怖がりでしょ?美術室なんて・・・頑張ったね」

「う、うぅ。桃子、怖かった。すごく怖かった。」

「頑張ったね。どうする?体育館に戻る?保健室行く?」