あなただけを思い続けたかった。(仮タイトル)


「杏子?!どこにいるの」

外から聞こえる桃子の声。

「び、美術室!!!桃子!助けてぇ。」

必死にわずかな窓の隙間から叫ぶ。

「わかった!待ってて!!!!すぐ助けるから!」

しばらくして美術室のドアをどんどん鳴り出した。

「杏子!!杏子!」

ドアに駆け寄り私も叫ぶ。

「桃子!鍵が!鍵が開かないの。」

「俺、先生んとこ行って借りてくるわ。待ってて」

「ありがとうございます!成瀬先輩」

成瀬先輩?

「杏子!もうすぐで出してあげるからね。」

「桃子ごめんね。ごめんね。」

「杏子が謝らなくていいから!」

「持ってきた!開けるぞ」

――― ガチャ

「杏子!」

出られてほっとした私は倒れてしまった。
そんな私を成瀬先輩が抱きとめてくれた。