弱虫男子

彼女はもう

ほとんど笑えていないのに


ひきつった笑顔を

まだ俺に見せようとしていた。




違う。


こんなことしたかったわけじゃない。




俺はトーンを変えて、

ひやかしてくるヤツらに向かって嘆いた。



「こいつ、好きって言ってくんない!!」



そう言って彼女を指差した俺に、

彼らは期待通りの反応を返す。



彼女は俺がトーンを変えた意図を読み、

俺の間違えをなかったことにしてくれた。