弱虫男子

「今言えよ!!」


彼女を振り向かせたい一心で

思わず声を荒げる。



それが間違った方法だとも気づかない。



彼女にはまだ、

視線をよこしてくるクラスメイトを

気にする余裕があった。



「えっ…?」


そんな彼女の唇が

余裕なく歪む。



俺が立ち上がりかけた彼女の身体を

椅子に押し戻したせいだ。



ヒュ~


近くの席の集団が口笛を吹いた。