弱虫男子

「え?

もぉー。何言ってんの~」



彼女は出来るだけのん気な声を

出そうとしているようだった。



「ね、あっち行こ?」



マズイ雰囲気を察した彼女が

廊下を指差して



俺から目を逸らした。



体中が震えだし、

足元が崩れていくような

恐怖を感じた。



怖くて怖くてたまらない。


目を逸らされただけで、

捨てられたみたいに寂しい。