弱虫男子

「そこ二人、なに?」


先生が近寄ってきた。



「すいません。」


と言いかけた俺の声をかきけすように

ヤスが叫ぶ。



「先生!こいつ彼女のことばっか考えてて

俺のこと無視すんの!怒って!!」



教室は笑い声やひやかしで

ひどい騒ぎになってしまった。



斜め前を見ると彼女は、

真っ赤な顔をして


”バカ”


と口を動かした。



たぶんこれが

世界で一番かわいい”バカ”だ。