弱虫男子

ひざの間に頭を落として

なかなか顔を上げない俺を

彼女は飽きもせず

あやし続けている。



俺はもう、落ち着いていたけれど

かまってもらいたくて

ずっと泣きまねをしていた。



俺はやっぱりちょっとズルいな。




「あ。切れてる。」


しばらくして、俺の指先に

小さな切り傷を見つけた彼女が声を出した。



さっき模擬試験の冊子で

切ってしまったことを思い出して

口を開こうと顔を上げたが、


目の前に彼女はいなかった。