あれからナオミは

俺に近寄らなくなった。



前川は再び

一人に戻った。


一度一人じゃない喜びを

知ってしまった前川は

どこか寂しそうで、

時々不安そうな顔もしていた。



俺は毎日毎日後悔して、

消えてしまったほうが楽なんじゃないかと

思えるくらい考えた。



でも、そんな日々は

長くは続かなかった。


小さくうずくまって

じっとこらえていれば

勝手に過ぎ去って行く。



あんなに心を痛めたのに今では、

顔を見た時や寝る前に


急に思い出すだけになっていた。



俺ってこんなもんなんだな。