弱虫男子

「勘違いしないでね。

好きなわけじゃないから。


連れて歩くのにちょうどいいと

思っただけだからね。」



標的を変えた前川は俺に向かって

そう吐き捨てると、


さっき滑り込んできたドアから

出て行った。




「調子に乗るからだよ。」




ぺしゃんこに力の抜けている

俺に向かって

ヤスはお尻の汚れを払いながら

ボソッと言った。


つられて立ち上がって


「冗談だとおもうじゃんか」


と言ってみたが

俺の言い訳を聞く気はないようだ。