弱虫男子

でも、よかった。


本当によかった。


いちご牛乳を二つともヤスに渡し、

美術準備室に誘って


彼女たちの視界から俺の姿を消した。



あの子が苦しまないのが

一番いいに決まってる。



俺のせいで彼女が傷付くことが

あってはいけない。


彼女の邪魔になりたくない。




確かにそう思っているんだけれど、



世界中であの子の味方が

俺だけになったら…



なんて妄想が止まってくれない。




今夜は携帯が震えないことを確信した。