弱虫男子

昼休みの開始を

らせるチャイムが

鳴り終わっても


彼女は動かない。



声をかけようと立ち上がるが、

振り払われるイメージがちらつく。



あの小さな手が俺を否定するのが

怖い。



俺は彼女を見ないように教室を出て

全力で廊下を駆け抜けた。



一分だって、一秒だって、

教室で一人でいることは


とてつもないパワーがいる。




立っているのも苦しいくらい

浅い呼吸のまま教室に戻ったとき、


そこにはいつもみたいに

みんなでお弁当を広げている

彼女がいた。



何がどうなったのか

俺には知る由もない。