弱虫男子

一時間目の授業が終わったとき

彼女は一人で教室を出て行こうとした。



真っ白い携帯を握り締めている。



その背中は俺に


”こないで”


と言っていた。




彼女が誰もいない廊下に出たのを

確認してから


俺は立ち上がる。




「大丈夫か?」



腕を引っ張った俺を

見上げる彼女の顔は


ホラー映画のヒロインみたいだった。