【次、ツクシ】

美舞は大量のアブラ汗を流している。美舞が狙う景品は、“しゃきたま”だった。


「あっ・・・」


美舞、全然駄目だ。さっきの希依那よりひどい。まぁ、前にあんなことがあったし、仕方ないのかもしれないけど・・・。

【ツクシ、ゲームオーバー。これより、制裁を与えます。】

・・・またあれを、見なきゃいけないのか?

「ぃやあああっ!嫌だ、死にたくない!あたしが何をしたっていうの!?」

美舞は、取り乱し、髪の毛を引っ張った。ブチッという嫌な音がして、美舞の金色の髪の毛がハラリと床に落ちた。


やがて、美舞の腕にゲームオーバーの文字が刻まれた。そこから、美舞の肉片が大量に飛び散り、目から涙といっしょに血が溢れてきた。


「嫌だ・・・。ゔっ、喋れない・・・。」

美舞は、グチャグチャになった膝をつき、そのままうつ伏せに倒れた。

これは、イベントなんかじゃない。


誰かが行っている、リアルロールプレイングゲームだ。

「うっ・・・」

急に吐き気がこみ上げてきて、その場で嘔吐する。犯人は、直接手を下さなくても、人を殺すことが出来る。下手に動いたら、何があるか、分からない。


【次、ツルミ】


淡々と進められる残酷なゲーム。これを行っている人は、本当に人間なのだろうか?

「行きますっ」

鶫はさも楽しそうに、景品を見据えた。

軽快なリズム音に合わせて、鶫がボタンを押してゆく。アームは綺麗に景品を捉え、取り出し口に落とした。


「と、取れました・・・」


よくこんな狂った状況の中で、冷静にゲームが出来るな、と思った。

【ツルミ、クリア。これより、休憩に入ります。】

5人いたのに、いまはもう3人だ。目の前には、数時間前まで喋っていた人達の死体がある。この謎の状況が、まだ飲み込めていなかった。