取れないわよね、希依那は。あの台、1回じゃ取れないやつよ・・・。


「ああっ、行き過ぎた!?」

希依那はわざと取れなくして、ウケに変えようとしているようだった。

希依那、あなたはいつもそう。



全然、面白くないのにね。

ヴィーンヴィーン

勿論、景品は取れない。

「あっ、とっ、取れなかったァ〜。あははっ。」

【スズキ、ゲームオーバー。これより、制裁を与えます。】

せ、いさい?なにそれ。

「ゔっ、ゔぁっ・・・!」
希依那が変な声を出している。見ると、希依那の腕にゲームオーバーの文字が刻まれ、そこから、血が溢れていた。

「ぁぐっ・・・。ゆ、るし・・・ゴフッ」

希依那の口と鼻から大量の血が流れ出す。パンッと音を立てて、希依那の指が破裂した。剥がれ落ちた希依那の爪が、私の頬にペタリと張り付いた。
「っ・・・!!!!きゃあああああ!」

慌てて爪を剥がし、希依那の方に投げる。

「琉々菜・・・、なん、でっ・・・」

希依那の顔は、どこにどのパーツがあるのか分からないくらいグチャグチャだった。

やがて、希依那は崩れ落ち、動かなくなった。皆、今起きたことが理解出来ず、その場に立ちすくむ。こんなの、聞いてない・・・。

放送では、制裁なんて、一言も言ってなかった。なのに、なんで・・・?


「いっ・・・、いやぁ!」

初めに声を上げたのは、美舞だった。

「失敗したらっ、あたしもああなるの?」

このまま行けば、次は美舞の番だ。こんなの、見てるだけでも・・・。