「とりあえず・・・やりましょうか」

鶫はじっと私から目を逸らさずにノコギリを掴んだ。

私はチェンソーを掴む。

ヴルルルル・・・、と大きな音を立ててチェンソーが発動し始めた。

電動ノコギリではなく、普通のノコギリを選んだ鶫は、『しまった』とでも言うように唇を噛み締めている。


「どっ、りゃぁぁぁぁ〜!」

私は重いチェンソーを持って走り出す。

「ふっ・・・。いっ・・・!」

鶫は私のチェンソーをギリギリで避け、服をピッと切ったくらいだった。

「くそぉっ・・・!!!」

「つぎは、私の攻撃でいいですか?

・・・しっかり、かわしてくださいね」

そして、鶫は一気に走り出し、私の胸にノコギリを突き立てようとした。

「はっ、ふっ・・・。ぐうっ!」

私は咄嗟に避けたのだが・・・。

ノコギリは置いていかれた右手に命中した。

ザクッ!

私の右手は、綺麗に切り落とされた。

切り落とされた部分からはドクドクと血が溢れ、押さえている左手を汚した。

どうしよう、このままでは、右手から雑菌が入ってきてしまう・・・。

左手で必死にポケットをまさぐる。

そこには、生理用シートが入っていた。

私はそれで右手を塞いだ。

惨めだ。

実に滑稽だ。

惨めで惨めで惨めで惨めで。

涙が溢れてくる。

けど、時間は待ってくれなかった。

私はヨロヨロと立ち上がり、フラつきながらチェンソーの視点を合わせた。

鶫はボヤけているが、笑っているのがわかった。