「うぇーい!2万円突破ー!さっすが、令嬢の琉々菜だよなぁ!」

私の名前は西園寺琉々菜(サイオンジ ルルナ)。

西園寺家の有名令嬢よ。いつも、この汚らしい友達と付き合って、もう疲れてきたわ。


いつも、こいつらと駅前のゲームセンターに向かう。ここ、品揃えいいから、欲しいの結構あるのよね。

「おっ!琉々菜!琉々菜が好きな“しゃきたま”がいるよ!」

「ええっ、本当!?」

“しゃきたま”というのは、私が好きなキャラクターだ。シャキッとした姿が、なんとも可愛らしい。

毎月、この“しゃきたま”にいくら使っていることか。


「ほら!これだよ!」
そう言って、いつも一緒にいる友達のひとり、鈴木希依那(スズキ キイナ)が、“しゃきたま”のぬいぐるみが並べられているUFOキャッチャーの台を指さした。


「やるわ!」

私は遠慮なく、機にコインを投入した。

「はあっ!?っざけんな!」

あれから、30回ほどやったけれど、取れなかった。でも、欲しい・・・。

私は、ゲームセンターの店員の元へ行った。希依那ともう1人の友達、筑紫美舞(ツクシ ミブ)も付いてくる。


「あのさぁ、店員。あの台、ひどすぎなんだけどー!金ならいくらでも払うから、よこせよマジで」

店員は若くて、バイトのようだ。名札のところに、『柳沢君子(ヤナギサワ キミコ)』と書いてある。

「あっ、あのぅ・・・。上の者、呼んできますので・・・お待ちください・・・。」

「ちげーよ!いますぐほしーんだよ!悟れよ、バカ店員!」

唾を撒き散らしながら、叫ぶ。ほんと、バカなんだから。


「あっ・・・分かりました。じゃあ・・・。」

「5万でいいわ!よこせ!」

柳沢の目の前に、一万円札5枚を叩きつける。柳沢の肩がびくりと震えた。

「お・・・お待ちください・・・。」