課長の突然の出演に動揺しつつも
私は、流れを教えた。
そして撮影を再開させた。
まず撮ったのは、部屋で恋人同士が仲良く
過ごすシーン。
いくつかバージョンを撮って短いけど
合成して1つの作品にする。
彼女役の天宮麻梨子の部屋でくつろぐ課長。
飲み物を手渡しするところから撮るのだが、
始まると自然な流れで行われた。
いつも無愛想でムスッとした表情の課長なのに
撮影を始まった途端優しい笑顔に変貌していた。
梨々花ちゃんに向けている笑顔と同じように。
ううん。
本物の恋人同士のような……表情だ。
あの天宮麻梨子と並んでも違和感がないぐらいに
素敵な雰囲気になっておりお似合いだった。
「あの……2人いいですねぇ~」
「恋人同士ってより、本物の夫婦みたいですよね。違和感ないし……むしろお似合いだ」
スタッフの人が次から次へと口を漏らしていた。
私もそう思ったが
胸がズキッと痛みだす。
心の奥底にあるモヤモヤがさらに溢れだしてくる。
この嫌な違和感。
もし……私の勘が当たっていたら……?



