「はい。課長は、
娘さんを大切にしてるのは、知ってました。
でも知っていても…好きだったんです」
気持ちを整理をさせるから待っててくれと
言われた時は、嬉しかった。
気持ちが分かり合えたと思っていた……。
でもそれは、私の思い上がりだった。
分かっていなかったのだ。課長の気持ちを……
何よりも大切な存在を
「分かっていても……そばに居たくて……」
自分でも無茶苦茶なことを言っていると
分かっている。
なんて……自分勝手な女だろうか。
自分のことばかり……。
涙が溢れていたら阿部さんが
私を強く抱き締めてくる。
「俺は、君が幸せになれるなら
それでいいと思っていた。でも、もういい。
強引でもいいから……俺がそばに居る」
「俺にしなよ……千奈美」
阿部さんは、私にそう言ってくれた。
彼は、優しい。
私の欲しい言葉も気持ちを察して伝えてくれる。
何で……課長なのだろう。
阿部さんだったらどんなに良かったか……。
「………。」
首を横に振るう。
だからと言って素直に頷けない。
それでも……まだ課長のことが好きだったからだ。
「千奈美さん……」



