課長は、私より家族を選んだ。
ただそれだけのことなのに……私にとったら
苦しくて辛い。
「すまない。尾野……」
課長は、苦しそうな表情で何度も言うと
資料室から出て行ってしまう。
私は、ひたすらそこで泣き続けた。
その後は、ぼんやりしながら
駅に向かった。
泣き疲れてもう……何の気力も無かった。
失恋したことは、あるけど
こんなに辛い失恋をしたのは、初めてだった。
あぁ、思い出しただけでも……また涙が溢れてくる。
涙のせいで視界がぼやける。
その時だった。
「千奈美さん。危ない!!?」
えっ……?
私は、誰かに後ろから抱きかかえられ
後ろに倒れ込む。
すると車が目の前から通り過ぎて行った。
いつの間にか交差点まで来ており
危うく私は、車に引かれるところだった。
思わず血の気が引く。
すると後ろで抱きかかえられた状態で
「千奈美さん。危ないだろ!?
もう少しで引かれるところだったじゃないか」
慌てて叱ってきたのは……阿部さんだった。
阿部さん!?



