課長は、苦しそうな表情で言う。
「梨々花の気持ちを知った。
今は、受験で大変な時なのに……俺は、
家族のためにと思っていただけで
結局自分のことしか考えていなかったと
改めて思い知らされた」
「恵梨花は、再婚を望んでいない。
彼女が大人になるまでは、俺は
父親の責任を果すつもりだ。これ以上
娘に辛い思いをさせたくない。だから
すまない。尾野の気持ちに応えられない」
申し訳なそうに頭を下げてきた。
冗談……じゃないようだった。
課長の返事は、私にとったら
悲しくショックなものだった。
頭が真っ白になる。
「な、何で……ですか!?
梨々花ちゃんの親権は、奥さんが持ってるんですよね?
だったら……いいじゃないですか」
もう全て元奥さんに任せたらいいじゃない!?
だが課長は、
「そう言う訳にはいかない。確かに
親権は、妻が持っている。しかし離婚して
親権を奪われても梨々花は、俺にとったら
血の繋がった大切な娘だ!!
父親としての責任がある。守りたいんだ」
課長の真剣な言葉に私は、それ以上何も言えなかった。
確かにそうなのだ。
奥さんとは、離婚すれば赤の他人。
だが子供は違う。血の繋がりがある以上
自分の子供なのだ。
親としての義務や責任がある。
涙が溢れて……止まらなかった。



