「それは、そう思ってるからです!!
課長は、本当は……優しい人だと知ってます。
娘の梨々花ちゃんを大切にしていて
凄く愛されていて羨ましい……ぐらいです」

あぁ、また涙が溢れてきた。

私は、梨々花ちゃんのようになれない。
元奥さんみたいに女性として見てもらえないけど
課長の笑顔が見られるのなら

この気持ちを押し殺さなくちゃあ……

すると課長は、ギュッと私を抱き締めてくる。
えっ……えぇっ!?

驚く私。
しかし課長は、抱き締めたまま
「お前に気持ちを告げられてから尾野のことばかり
考えていた。
俺は…家庭を壊したのは、自分だとずっと悔やんでいた。
梨々花にも寂しい思いばかりさせて……二度と
再婚なんかしないと誓っていたのに」

「だが……あの男と君が仲良さそうに
今朝歩いているのを見て胸が張り裂けになった。
自分で拒絶しておいて……勝手なことを言っていると
分かっている。分かっているけど
泣いているお前を見たら……抱き締めたくなってくる」

そ、それって……!?

「それって……私のことを好きになりかけているって
ことですか?」

もしそうなら嬉しい……。

課長を見ると一瞬驚いた表情をしたが
「そう……なのか?」
思い出すかのように頬を赤らめていた。