どう説明したらいいのだろうか。
よりにもよって会いたくない時に会ってしまった。 
オロオロと戸惑っていると彼は、涙に気づく。

「あれ、千奈美さん。どうしたんだ!?
泣いていたのか?さっきまで……」

ギクッ!!
うぅっ……気づかれちゃった。

「これは……その……」
さすがに言いにくい。片思いをしていた上司に
迫って断られたから泣いていたなんて。
恥ずかしい。

どうやって泣いていた言い訳にしようかと
考えていたら

「尾野!!」
後ろから課長の叫ぶ声が聞こえてきた。

えっ?
振り返ると課長が息を切らして追いかけてくれた。

「か、課長……!?」
驚いて課長の名を呼ぶ。

するとそれに驚く阿部さん。
「課長……?この人……君の上司なのか?」

ハッ!!
ど、どう説明したらいいのだろうか。
しかも課長とは、気まずいままだし……。

身体をガタガタと震わして悩んでいると
それに気づいた阿部さんは、私を後ろに隠してくれた。
えっ……?

「あんた……千奈美さんの上司なのか?
ずいぶんと遅くまで部下を連れ回すんだな?」
ギロッと課長を睨みつける。