「えっ?でも……」
それだと飲みに家まで来た意味がない。

すると頭をポンポンと撫でられる。
「まったく。家で飲まないかと言わないと離さない
勢いだったからな。
本来ならこう言ったことは、セクハラや変な誤解を
生むから避けるべきなのだが……今回だけ特別だぞ!」
そう言ってきた。

特別……その言葉は、とても心が揺らぐものだったが
今回だけと聞いて切なくなった。

嫌だ……今回だけなんて。

「おい、尾野?お前……何泣いているんだ?」

えっ?
目元を触ると涙を流していた。
あぁ、そうか……私は、やっぱり諦め切れないんだ。

何度思い直そうとしても
課長のことが好きで仕方がなかった。
梨々花ちゃんや前の奥さんにも嫉妬して
それでも好きなんだ。

どーせ。誤解をされるぐらいなら……

私は、課長に抱きついた。
大胆なく行動だと自分でも思う。
でも、少しでも部下じゃなく女として見てほしかった。

「おい、尾野!?
どうしたんだ?まだ酔っているのか?」
驚いた表情をする課長。

酔っている。
私は、課長に酔っているの。

「酔っています。酔った勢いでいいですから
課長……私を抱いて下さい」
今までに経験したこともない大胆な告白をする。