そわそわしていると課長は、
コップに水を入れて持ってきてくれた。

「尾野。お前は、まず先に水を飲め」
そう言って渡してくれる。

「あ、ありがとうございます」
丁度水が飲みたかったから嬉しい。
ゴクゴクと緊張しながらも水を飲んでいると
課長は、上着を脱いでいた。

ドキドキしながら課長を見る。
すると課長は、私を見ると
「それでお前は、どうするんだ?
ビールかウィスキーならあるが飲むのか?」
どうするのかと聞いてきた。

あ、そうか。
私、課長の自宅でお酒を飲むために来たんだった。
つい理由を忘れてしまっていた。

本当は、課長のそばに居たいだけなんだけど

「もちろんいただきます。ビールを」

本当は、お酒なんてもういい。
これ以上飲んだら明日起きられるか心配だし
吐くだろう。

だが、それを理由にしたからには、飲まないと
怪しまれてしまうし。
少し飲んでから理由をつけて帰ろう。
じゃないと……さらに恥をさらけ出してしまう。

すると課長は、溜め息を吐き
「アホか。もうそれ以上飲めないなら
無理にして飲むな。明日の仕事に差し支えるぞ」 
逆に怒られてしまった。

えっ?でも……

「その水を飲んで少し横になっていろ。
酔いが覚めてきたらタクシーを呼んでやるから」