しゅんとまた落ち込んでいると梨々花ちゃんが
「ねぇ、そんなことよりパパは?
待っててもちっとも来ないんだけど……」

あ、そうだった。

「あなたのお父さんなら……」
そう言いかけた時だった。

「梨々花?」
後ろから梨々花ちゃんの名前を呼ぶ
課長の声が聞こえてくる。

えっ……?
振り返ると佐々木課長だった。
いつの間に来たのだろうか?
私は、驚いていると梨々花ちゃんは、
こちらを無視して課長のところに行く。

「パパ。一緒に帰ろうと思って迎えに来たよ!」
さっきまでと違い笑顔を見せてくる。

「そうか。でも今日は、塾じゃなかったのか?」

「今日は、定休日だからお休みだよ。
それより。今日は、何処か外食をしてから
帰ろうよ~」
梨々花ちゃんは、外食したいとおねだりをしてくる。

「まったく……それなら早く言いなさい」
呆れたように言う課長。
しかしその眼差しは、優しい。

「えへへ。ごめんなさ~い」
謝りながも嬉しそうに言う梨々花ちゃん。
あ、そうか。

梨々花ちゃんは、課長……お父さんのことが
好きなんだ?だから
私にあんな態度をしてきたのね。
ようやく意味を理解する。