名前のない物語






『だれがそんなことをいうんだい?』



『まちのひとはみんなわたしをそうよぶわ』





誰が言い出したかなんて覚えていません。


ただ最初のその一言は彼女を深く深く傷付けました。




『だからみんなきらいよ』




それ以来彼女は人を信じることをやめてしまいました。


大きな悲しみは、彼女をひとりぼっちにしてしまったのです。


そしてこころの病はなかなか治ることはありませんでした。