「寒くないですか?早く行きましょうか」
リリカは微笑みながら高橋を見つめた。
ビルを出るとすごい雨が降っていた。
相合傘をしながら、目的地へ向かう。
2人は他愛もない会話をした。
こうして会うのはもう、何十回にもなる。
高橋は、53歳のサラリーマン。
ずっと独身だ。
会社は商社で、部長をしている。
ストレスがひどいらしく、目の下にはクマができていた。
酒とタバコだろうか。
お腹はまんまるとして、タバコの臭いがプンプンした。
目的地に着くと、リリカはフロントへいく。
そして、滝川に渡された、封筒をフロントスタッフに渡した。
「606号室です」
フロントスタッフに言われ、リリカと高橋はエレベーターに乗った。
そう、もうお分かりだとおもうが、リリカの仕事は、ホテヘル嬢。
