私より前に歩いていた莉子が不思議思ったらしく立ち止まり、振り返って近くまで戻って来た
そんな莉子に私は誤魔化してまた歩き出した
───・・・・・
全ての授業が終わり、帰りのHRも終わった途端に莉子が私の方に駆け寄って来た
「響っ!早く行こう!」
「ちょっ…!そんなに引っ張らないでよ莉子ー;;」
「早くしないと待たせちゃうでしょ!」
「誰を!?」
「ほら、早く早く!」
なんだか急に元気になった莉子は私の言葉はまるで聞こえていないかのように急かし、あっという間に下駄箱のある玄関まで着いた
そして、その玄関の近くには明らかにココの生徒ではない学生が二人いた
…あれって…芳東学園(ホウトウガクエン)の制服じゃない?!
なんでココにいるの?
私は目を見開いて彼らをガン見してしまった
“芳東学園”とは男子高で、なんでも族の人々が集まっていると有名な学校だ
「あ♪青木くーん!」
莉子が嬉しそうに近寄った相手は、先程の“芳東学園”の制服を着崩した茶髪で左目の下に涙袋があり眼鏡をかけていた
茶髪で目の下には涙袋と、一見チャラそうに見えるが眼鏡で辛うじてそれを抑えているという感じだ
……もう一つの噂、思い出した…;;
芳東学園は、八割以上が美形揃いという噂である
莉子はイケメン好きだとは分かっていたが、まさか此処までの美形に惚れて挙げ句に惚れられてしまうとは・・・
なんと恐ろしい娘だろうと私は苦笑した
「ゴメンね?待たせちゃって…」
「いや、気にしてないよ」
「本当?」
「本当に。安藤さんを待つんだったらいくらでも待てる自信あるし」
「あ、青木君…///」
二人は見つめ合って自分達の世界に入っているみたいだ
……いやいや、まだ付き合ってないよね?君達;;
私はそれを呆れながらも、幸せそうな莉子を微笑ましくみていた
すると、青木の側に居たもう一人の学生に視線を向けた
もう一人の学生は制服の中にパーカーを着ているようで、何故かフードを深く被っていた
そのせいか、目元は見えないが微かに見えた髪の色は白銀で珍しいという印象が残った