しかし、響と気付いていない圭は首を傾げて眉を寄せる
「………っ“紅蓮”……?」
「っ…!」
「あ、違った。響か」
ドキリとした
まさかこの格好でその名前が出てくるとは思わなかったからだ
ビックリして硬直している響に顔を近付けてマジマジと見た圭は、それが響だと分かると少し残念そうな表情をして響から離れる
だが、未だに硬直している響に気付いた達巳が助け舟を出した
「おいおい。なんでそんな冷静なんだよ?今の響、男にしか見えないだろ」
響の肩に腕を回し、不思議そうに訪ねると圭は当たり前だと言わんばかりに言い返す
「なに言ってんだ。惚れた女を間違える筈ねぇよ」
「へぇー?じゃ、さっき違ったっつったのは誰かなぁ?」
「…………喧嘩なら買うぞ」
「おーおー、八つ当たりかよ?」
「違う。……おい、いつまで肩組んでるつもりだ」
「あぁ?俺と響の仲だから良いんだよ。なぁ?響」
不機嫌になる圭に達巳は更に響に引っ付くと、やっと我に返った響が顔を上げて眉間にシワを寄せた
「はぁ?キモい」
「……そんなガチトーンで言わんでも;;」
「フッ…ざまぁ」
落ち込む達巳に勝ち誇ったように圭が笑うと、達巳は舌打ちして圭を睨み付けた
「……ん?てか、圭があんまり驚いてないんだけど………っまさか、なんか喋った!?」
「あー、昨日な。圭にだけ俺らが知り合いってのは話した」
「っざけんな!なんの為にあんな事したか分からねーじゃねぇかよっ」
「響ぃー?口調が男だぞー;;」
「ウルセェ、今丁度男装中だからイイんだよ馬鹿っ!」
「うわ、暴力反対っ;;」
「このままコンクリに埋めたろーかっ」