莉子と約束した(一方的だったが)市内の一番大きい時計台へと向かう

(……ん、予定より早く着いたな…)

只今の時刻、午前10時25分

約束をした時刻より35分も早く着てしまった人物は、喉を潤す為に近くの自販機で缶コーヒーを買っていた

「────あ、あの!」

「…ん?」

「えと、あのっ……もし良かったら私達と遊びませんか!?///」

顔を真っ赤にした可愛らしい女の子達が缶コーヒーを飲もうとしている人物に声を掛ける

よく見れば遠くの周りに居る女子の殆どがその人を見て顔を赤く染めていた

「…あー、ごめんな?友達を待ってるんだ」

「じゃ、じゃあっ!少しだけお茶でも…」

「ていうか、その友達も一緒に来ればいいよ!私達、全然OKだし!」

「うんうん!」

「(…参ったなぁ;;)うーん…出来ればここから離れたくないんだけど…」

猛アタックをする女の子達にその人は困ったように微笑んだ

たったそれだけの事だが、周りの女の子達は更に顔を赤らめてしまう

「………何やってんだ?;;」

「えっ?……あれ、達巳」

突然、声を掛けられて女の子達の一番後ろを見れば昨日会ったばかりの達巳が呆れたような顔をして此方を見ていた

「丁度良いところに!」

「はっ?」

「いやー、友達が来たみたいだから悪いけど他当たって?本当にごめんな?」

ツカツカと達巳に近寄り申し訳なさそうに女の子達に謝ると達巳と共にその場を去った

後ろからは残念がる声が幾つか耳に届く

「───で?何をやってんだお前は」

「いやー、友達を待ってたら絡まれちゃってさぁ…あはは;;」

少し離れた場所まで行くと、路地の方に入った二人

未だに呆れた顔をしている達巳に苦笑しながら頬を掻くその人は視線を泳がせた

「はぁ…んな事を聞いてるんじゃねぇよ。なんで、また男装なんかしてんだって言ってんだ」

「えぇ?あー・・・まぁ、男装だけなら良いかと思って」

「はぁー・・・お前なぁ;;」

「てか、良く気付いたね?私だって」

「当たり前だろ。俺がお前を見間違える筈ねぇんだよ」

「ふーん?で、達巳はなんで居るの?こんな騒がしい場所、苦手じゃなかったっけ?」