「………圭」

「あ…?なんだ」

達巳は未だに騒ぐ二人を無視して、呆れ顔の圭の側に近寄ると小さな声で話し掛けた

「…ちょっと、話しあんだけど…いいか?」

「…………あぁ」

真剣な表情で言う達巳に圭も抵抗する事なく頷くと、二人して別の部屋…総長と副総長それから達巳だけが出入り出来る特別の部屋に入って行く

ちゃんとカギを閉める達巳と、何食わぬ顔をしてソファーに座る圭

ソファーに座るなり、煙草を取り出し火を付ける圭に達巳は向のソファーに座って同じく煙草を吸い始めた

「…ふぅー……んで?話ってなんだよ」

最初に口を開いたのは、一息吐いた圭だった

達巳も一息吐くと、真面目な顔で口を開く

「……圭は、俺がどうしてコッチに来たのか知ってるだろ?」

「あぁ。捜してる奴が居るんだよな」

「……でも、やっと見つけたんだ」

「…っ本当か?」

「本当だ。……スゲェ、大事に想ってるんだ………だから、圭には、圭だけには言っときたくて」


急に俯く達巳はまた煙草を吸うと肺にまで行き届かせてからゆっくりと吐く

そして、圭に視線を向けるその眼差しは今までにない真剣過ぎる表情だった

「……圭、俺は……響をずっと捜してたんだ」

「っは…??」

「アイツとはたまたま知り合ったんだけどさ…連絡先聞いてなかったから居場所が分かんなくて………だから、捜してたんだ。また会いたくて」

驚く圭に達巳は容赦なく本音をぶつける

…響が何者かが分からないように

本当は言いたい

圭の捜してる奴だと

けれど、それで響が離れて行く気がして…自分を信用して話してくれた響の秘密を守りたくて話さなかった

それでも、この気持ちだけは

圭に知って欲しかった

「俺は、響が好きなんだよ……狂っちまうくらいに。これだけは、誰にも譲れない」

「…………………」

言いたい事を言うと、達巳は煙草の火を消して部屋から出ようとする

「………なら、俺達はライバルだな」

「…っ………!」

扉のカギを開けた時、そんな余裕そうな声が聞こえた

振り向く達巳に圭は余裕な笑みを浮かべて、煙草の火を消し達巳に近づくと宣戦布告と言わんばかりに言い放った

「俺だって譲れねぇよ。だから、負ける気がしねぇ」

「………フッ…ハハハッ……やっぱそうだよな、お前らしいわっ」

「…なんだよ。んな笑う事か?」