「…へぇ。良かったじゃん」
「良くないよ!」
「はっ?」
莉子の幸せを心から嬉しかった私がそう言うと、急に困ったように叫ぶ莉子
あまりの事に固まっていると周りがざわついていて我に返った
「えっいやいや。だって好きだったんでしょ?」
「そうだよ。今も好きだよ!」
「………ちゃんと分かるように説明して下さい;;」
考えても分からなかったから莉子に説明を求めたら、いきなり腕を掴まれて「ちょっと来て」と一言言われて仕方なく着いていった
着いた先は屋上で、来るときチャイムが鳴っていたから屋上には私と莉子の二人だけ
「…あの、莉子さん?チャイム鳴りましたが?」
「知ってる」
「では何故に今屋上に?」
「響が悪い」
「私かい!いやいや、おかしいから!!」
「……アタシ、告白されたけど、まだ返事してないの…」
急にしんみりと話し出す莉子は、また有り得ないような言葉を言った
「はぃ!?なんで!」
「そりゃあ、告白された時は嬉しくてOKだそうとしたよ?でも…やっぱり響と居たいもん」
そう言うと莉子の目がウルウルとしだして軽くパニクる私
「ん?ん??いや、居るじゃんココに;;」
「違くて!…アタシに彼氏出来ちゃったら、響と会う時間とか短くなるじゃん…」
「あー、まぁ確かに彼氏優先するか。普通。でもさ、全く会えない訳じゃないんだし、莉子は好きなんでしょ?」
「……うん」
「だったらOKしなよ!私、莉子が幸せならそれでいいし」
宥めるように私が言うと、莉子はまた「良くない!」と叫んだのだ
……いや、じゃあどうしろと?;;
私は困りに困って後頭部を右手で掻くと、莉子の両手が私の左手をギュッと掴んだ
「…アタシが言いたいのはね?響にも幸せになってほしいの。響を先置いてアタシだけが幸せ者になんてなれないよ…」
「莉子…」
「響がアタシに幸せになってもらいたいのと、アタシも響に幸せになってもらいたいのと…同じ気持ちなんだよ?」
しょんぼりとした莉子の言葉は、何故か私の胸が痛んだ
……莉子、それは無理だよ…
だって私は“幸せ者”になんてなっちゃいけないんだから…
でもそんな事を莉子には言えない
言えばきっと「じゃあ、アタシもならない!」なんて言いそうだったから
前に一度、莉子が他のクラスメートにカラオケに誘われて私も莉子に誘われたがそれを断った事がある
そしたら莉子が「じゃあ、アタシも行かない」と言って本当に断っていた
『…莉子は行きなよ』
『ヤダ。響が居ないと詰まんないし、元々そんなに仲が言い訳じゃないもん』
だから良いのって笑って私の側を選んだ莉子
「……莉子、私は“幸せ者”だよ?莉子みたいな優しい友達が居るんだから」
「でもっ…」
「でもじゃない!…莉子、お願いだからさ?私の為にも幸せになって。ね?」
「響の、為?」
「そう。莉子が幸せだと、私も嬉しい。さっきの言葉は本心だよ?“良かったね”」