「え、なに?お前知ってんの。言え言え」

「えぇー・・・?んー、実際見た訳じゃないからなぁ…それに圭の名誉の為だし俺からは言わないでおくよ」

興味深々に達巳が聞くと空太の視線が一瞬、圭に向けて視線を達巳に戻し上手いこと誤魔化す

テーブルに置いていた誰のとも知らないバイクのキーを手にして苦笑いを浮かべた空太はそそくさと逃げるようにまた同じ扉へと向かう

「ん?どこ行くんだよ、逃げんなよ空太っ」

「ばーか。俺は元々、キーを取りに来たんだよ」

「ヒューヒュー♪彼女送るんだぁ、ラブラブだねぇ」

突っかかる悠大を軽くあしらうと今度は歩が茶化すように言ってくる

が、今の空太には全くと言っていい程にそれは無意味だった

顔だけを後ろに振り向かせて、ニヤリと口元を歪ませ「羨ましいだろ?」と言って部屋を出て行った

「……うっわぁー・・・今の見た?凄い余裕そうなあの顔っ」

「やべー・・・めっちゃ腹立つ!」

パチクリと瞬きをした歩が驚いた顔で言うと、プルプルと震える悠大が叫ぶ

それを見て圭は呆れた表情をして溜め息を零す