「…で?話しってなに?」

バイクを走らせてから数分後、どこかの公園で達巳はバイクを停めた

「響…なんで、お前がここにいるんだ?」

「…それは、こっちの台詞でもあるんだけど?」

「誤魔化すな」

どうやら誤魔化そうとしたのが分かったのか、達巳は真剣な眼差しで私を見つめる

もう誤魔化せないと分かった私は、溜め息を吐いてベンチに腰を下ろした

「……さっき、ワザと話しを変えてくれたでしょ?」

「…………」

「本当は知ってるクセに」

「お前の口から直接聞かなきゃ意味がないだろ」

「…私が、皆を傷つけたんだよ」

私の言葉に達巳は驚いた顔をして、同じベンチに腰を下ろした

「っなにがあったんだよ!?」

「…ごめん。これ以上は言えない」

胸が締め付けられる気持ちを必死に隠して、無理矢理笑って見せたが達巳は自分が傷付いたような顔をして私の方をジッとみていた

…達巳は、私がまだ”天空龍神“として居た時にちょくちょくと喧嘩をふっかけて来たヤンキーの一人だった

『今日こそは負けないからな!』

その中でも、達巳だけは諦めずに毎日のように立ち向かって来ていた

少しずつだが達巳の日々強くなっていくのが分かって、私も何処まで強くなるのかが楽しみで喧嘩の相手をしていたのである

あれから一年半、達巳とも会う機会はもう無いだろうと思っていたがまさかまた会うとは思わなかった

「…っんだよ…俺にも言えないのか?」

「……ごめんね。でも、これは私が背負わないといけないモノだから」

「…………………一人でか」

「…そうだね」

「なんなんだよ…お前は。一年前から姿眩ましてさ、久々に会ったら髪も伸びてるし、カラコンもしてねぇし…」

「アハハ、私変わった?」

「いや、変わってねぇよ。お前はお前だから」 

達巳はなんだか悲しそうな顔でクシャリと微笑して、私をギュッと抱き締めてきた

触れて分かったのは、達巳が微かに震えている事だけで私は胸が痛んだ

「…ったく、心配したんだからな!」

「えー?あんなに喧嘩ふっかけておいてよく言うよ;;」

「う、煩い!///」

そういえば、達巳はヤンキーなのに馬鹿真面目で優しい人だったのを思い出した

少しだけ、笑ってしまったのは内側だけに留めて置こう

「でさ、達巳はなんで”黒龍士“に居るの?」

「……響が消えたって聞いた一年前に、スカウトされたんだよ」 

「へぇ?来てたんだ??」

「いや、お前を探してた時にたまたまこっち来て喧嘩してた」

「…また、アンタは喧嘩ばっかりして;;」

呆れたように達巳の頭をワシャワシャと撫でると、フと抱き締められたら身体が自由になった

達巳の顔を見ると、凄く不機嫌そうな顔になっているのに気付く