「…えーっと、これで終わった?」
気まずさから早く帰りたい気持ちが更に強くなった私は、話を進めようと喋りだす
「いや、まだ一人居る。…アイツは?」
「あー、いつものパトロールだよ」
「今日は下っ端に任せときぃって言ったんやけどなぁ」
圭が周りを見渡して、残りの一人が見つからなかったのか仲間の歩と怜がその質問に答えた
それを聞いた圭は、顔を手で被い溜め息を吐いた
「…ったく、今日は止めろっつったのに;;」
「仕方ねぇだろ。アイツは真面目だからなぁー」
「…確かに、アイツは真面目だな」
悠大と淳は諦めたように言って、目を伏せた
そんな時、私の背中の扉がガチャリと音がして扉から離れた
「おっ、噂をすればってやつだな」
悠大は喜々として、開く扉の方をみてそう口にした
私は丁度、扉が開くとその人物が見えない位置にいたのでただジッとその場でどんな人かを想像していた
変な奴じゃありませんように;;
ただでさえ、ここに来るのにも疲れている私に取っては変わり者は遠慮したかった
だが、扉の向こう…つまりは開いた扉の一枚越しから聞こえた声に、私は耳を疑った
「悪い。少し遅れた」
「達巳!お前、今日は居ろっつったろ!」
「直ぐに終わらすつもりだったんだ。そう怒るなって」
落ち着いた声色と聞き覚えのある懐かしさに、私は身体を硬直させてしまう
(ま、さかっ…そんな)
身体中に変な汗が出るのを感じながらも、私は動くことすら出来ないでいた
「達巳、お前にも紹介する。俺の惚れた女だ」
「はっ?惚れた女??」
「………」
扉を閉める達巳が、圭の言葉に私の方に気づいた
私は平常心を偽り、ただ立ち尽くしている
すると、達巳は目を見開いて私の方に歩み寄ってきた
「…お前、がか?」
「っ…“はじめまして”」
鼓動が早くなるのを無視して、私は“はじめて”会ったように挨拶をした
(大丈夫…一年前から姿も変わってるし、分からない…筈)
目の前に居る達巳は、私の思っていた達巳と同じだった
けれど、ここで私の秘密がバレるのは非常にマズいと思って必死で隠そうと頭をフル回転させる