「…着いたぞ」
私達の乗った黒い車を走らせてから約二十分後に到着した
その間に、莉子は誰かとラインをしていたが、顔が緩みまくっているので多分青木だろうと私は思い黙っていた
圭も特に会話をするネタが無いのかずっと沈黙だったが、それはスルーした
「じゃ!アタシは今から青木君の所に行ってくるからねっ」
「あー、ハイハイ;;」
車から降りた莉子はすぐに嬉しそうな顔をして青木の元へと向かった
「…意外だったな」
私も車から降りると背伸びをしていたが、後ろから圭の声が聞こえたので振り返った
「ん?なにが」
「…俺は、今日も駄目だとばかり思っていたから……それが外れて意外だったなと」
「あー、まぁそりゃあ嫌だけどさ。あんなにしつこかったし?逃げ回るのも疲れるからね」
諦めの溜め息を吐くと、圭は車から出たあとに私の横を並ぶように立ちポケットから煙草を出して吸い始めた
「…あれ圭、煙草吸うんだ?」
「……嫌いか?煙草」
「いや?別に気にしないけど」
私がそう言うと圭は「そうか」と言って煙草一本を吸った
そのちょっとした時間、私は何をするでもなくただボーッと立っているだけ
……暴走族って、どこもだいたい同じなのかな…
自分がいた場所と今の場所が、似ているのかは定かではないが…ほんの少しだけ懐かしさを感じる
「……響?」
「ん?終わった?」
「ああ」
「なら帰っていい?」
「それは駄目だ」
「だよねー;;」
帰っていい発言は呆気なく否定され、私は苦笑いを浮かべて肩を落とす
圭は吸い終わった煙草を足で踏み潰し、私の横を通り過ぎた
「…ねぇ、私はなんで連れて来られたの?」
「……部屋で話す」
圭はまるでついて来いと言うように前を歩いていった
私は仕方なく圭の後について行く事にし、周りからジロジロと見られているのを完全無視する
…やっぱり下っ端らも気になるよね…;;
内心では彼らの視線は気になっていたが、なるべく平常心を装って前だけを見ていた