・・・あれから一年
学校を変えて
黒髪だった髪をやめて茶髪にした
短いボーイッシュヘアをやめて髪も伸ばし、赤のカラコンをしていたのもやめた
ピアスもお酒もやめて、喧嘩もやめた
けれど、それと引き替えのように煙草を吸い始めた
あの日を境に私は“女”として過ごしていた
全てのモノを手放し、真逆の生活をおくっている
・・・でも、二つだけ
二つだけ手放せなかった
いや、正確には“消せなかった”だろう
一つ目は、仲間達との過ごした日々の記憶
楽しかった事も辛かった事もムカついた事もあったけど、それでも一番大切だったモノだから
──それに、記憶はどうあっても消せない
そして二つ目は・・・・・刺青だ
左太ももには自身の体に巻き付くような模様をした黒龍がいる
これを見られたらお終いだ
自分の正体が直ぐにバレてしまう
だから私はどんなに暑くてもスカートの時は黒いタイツを履く
「……もう、あの頃の私はイナイ…」
私は知らなかった
この後に起こる出来事を
そして、私の運命が変わることも・・・