「今から四年前だと思う」
「…四年前…」
四年前って事は、私が丁度”十三代目総長“に成り立ての頃だ
あの頃は、総長とか言われてもまだピンとこない時期だったような気がする
『おめでとう!!総長だぜ!?すっげぇなぁ』
『ははっ、お前が喜んでどうすんだよ!』
『そうゆうお前だって!顔がニヤけてんぞぉ?』
『なっ!そんな訳…!!』
『テメェら黙れよ。煩いから』
『……はい…;;』
そういえば、私以上に彼らが一番喜んでたっけ
寧ろ、なんでそんなにテンション低いんだって怒ってたなぁ;;
懐かしい…あの頃に戻れたらどれだけ嬉しいか
けれど、そんなことが出来るなんて思ってない
壊したのは私なんだから
望んだりしちゃ、いけない事……
「…”紅蓮“と、どうして会ったの?」
「……丁度、俺が荒れてた時期で…誰彼構わずに喧嘩をふっかけてたんだ。その時に”紅蓮“に会って『お前は今、護りたいモンはねぇのか?』って聞かれた」
「…っ!」
思い出した……そう言えば、確か黒髪の男にそんな事を言った気がする
今の圭の髪より、更に短い黒髪の男が彼方此方で喧嘩をふっかけてくると情報が入った為に私が自ら探して見つけたんだ
あの頃の圭は、ただ強さだけを求めて…”何か“に苦しんでいるように見えた
だからほっとけなくて、私は”護りたいモンはねぇのか“って聞いた
まぁ、その唐突とした質問に荒れてた圭はムカついたらしくて私と喧嘩する羽目になって負けたんだけど
確か、その後もなんか言ったような気がする
「『辛いなら泣け。悔しいなら這い上がれ。お前の道はお前自身で決めるモンだ』って喧嘩に負けた俺は、その言葉がずっと頭から放れなかった」
考え事をしていた私は、圭が口にした言葉にハッとして我に返った
圭は自分の左拳をジッと見つめながら、また懐かしむような表情をする
「その時に俺は”ああ、コイツにはかなわねぇ“って思って”コイツのようになりたい“とも思った」
「……………………………帰る」
「オイっ!?」
話が終わって少しした後に、私は圭から離れてその場を走り去った
圭の言葉が酷く胸に刺さった
感動してではない
寧ろその逆だ
”コイツのようになりたい“と圭は言った
それも凄く穏やかな顔でだ
けれど、私のようになるという事は私と同じ道を行くかもしれないという事だろう
それだけは駄目だ
私の歩んだ道は間違ってしまった道だから、圭にまで同じ道を歩ませたくない
浅はかだった
どこで道を間違えた?
私はどこでどうしていたら良かった?
────もう、分からないよ────
ただ一つ言える事は、圭には近づいてはいけないという事だけだった